追い掛けて、隣に並んで、揚げ句親しげに声をかけてきた自分に、ザイロングは最初珍しいものを見るような目で訝しげに見てきた。
…きっと未だかつて、こんな楽観的で大胆な人間に会った事など無かったのだろう。
酷く無口だったが、自己紹介をすると丁寧に彼は返してくれた。
「敬語は苦手なんだ。その辺は…まぁ、勘弁してくれ。………俺は、アオイだ。よろしく救世主」
「…ザイロングだ。ザイでいい。…………………………何?…救世主?」
は?…と、大柄な身体に似つかわしくない、小さく首を傾げるその素振りに、アオイは思わず吹き出した。
ザイは、少々困惑していた。
何処に行くにも何をするにもいつも一人。
一匹狼が当たり前となっている自分。
常に静寂しか纏っていなかったこの自分に………他人が話し掛けてくる。
しかも、初対面であるというのにやけに親しく接してくる。
勝手に名乗ってきて、そして勝手についてくる。
隣でペラペラと話し続け、ケラケラと笑う。
………こんなに明るい狩人、初めて見た。存在自体珍しいかもしれない。
凄く欝陶しい…と思う反面、ザイは興味深げにこのアオイという変わり者の狩人を無言で眺めていた。
…その視線に気付いたアオイが「何だ?」と聞いてくる度に、ザイは「見ているだけだ」と淡泊な答えを言い続けた。
「今更だが、さっきはありがとうよ。…それにしても凄かったな、あんたの弓の腕。ちらっと見たが、一度に三本も矢を放ってただろ。でも、どうやってやるんだ?……なぁ、しばらく手を組まないか?いい依頼を見付けたんだよ」
「………断る。私は、私の決めている依頼主からの仕事しか受けん」
「ケチ野郎。いいじゃねぇか。今旬のお仕事やろうぜ有名人」


