亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





綿雪にでもなったような、ふわふわと浮いている様な…雲の様に浮かんでいる様な………曖昧な感覚。




現実と眠りの世界の境界線まで来た時は、いつもこんな感覚が身体を襲う。



あまりにも心地良くて、温かくて……。




………起きるのが億劫なのは、ここから引き戻されて不快だからだ。

ああ、眠い。



とっても眠い。






フワフワと浮いた自意識が、無気力な世界に手を伸ばす。

掴む物なんて何も無いけど、何でもいいや。

何でもいい。

どうでもよくなる。















―――何も無い世界にゆっくりと手を伸ばし…。





―――…………ただ夢中で、夢中で…。





―――………掴んだ。























―――反射的に。















「………」

「―――」













レトとザイはほぼ同時に目を覚まし、マントの内の剣を掴んでいた。







………互いに無言で目配せし、レトは中央で未だ燃え続ける炎を消し、ザイはすぐに剣を鞘から抜いて洞窟の壁に寄った。







………洞窟の丸い口から見える外は、相変わらずの猛吹雪。

飽きることを知らない風の歌しか、聞こえない。

しかし二人は岩影に身を潜め、外の様子を窺った。













「………何が聞こえたか、言ってみなさい…」


「………………何か…獣の鳴き声と……人の、声………」


「………距離は…?」


「……………………………五百メートル…?」


「……………もっと耳を澄ませろ。……一キロ先だ…」

ザイはレトの頭を軽く叩いた。