亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



特に何かする訳でも無い。

何か話す訳でも無い。






ただ、無言。


沈黙、静寂。






それだけで充分な親子の時間は、あまりにも虚しく、寂しいものかもしれないが。






………一番落ち着く一時でもある。














レトは炎から父へ、ちらりと視線を移す。

火を挟んで反対側に腰掛けるザイは………睡眠をとっている訳では無いが、目を瞑っていた。



………こんな時で無ければじっくりと見れない父の顔。

時々、自分はどの辺が似たのだろうかと考える。



………紺色の瞳と、鼻の形は一緒だ。………大人になれば、父と同じ様な姿になるのだろうか。


(髪の色は………父さんは灰色……)

目の前をちらつく、先だけウェーブの掛かった青銀髪を見詰めて………この髪は…。






「―――父さん…」




「……人の顔をジロジロ見るものではないぞ、レト。……………………何だ…」

………気付かれていたらしい。父にはあの二つの眼球以外にも目があるのだろうか。













「………………僕の髪って、父さんとは違うよね」


「…ああ」


「……………………………母さんの色…?」


「……ああ」


「………僕、母さんと似てる…?」


「………ああ」


「………………どの辺りが?」





「…………………レト、寝なさい」























………再び目を瞑ってしまった父を見詰めながら、レトも瞼を閉じた。





………………今日は、どんな夢を見るだろうか。

………母さんの夢なら良いな。











………顔なんか、知らないけど。