特に何かする訳でも無い。
何か話す訳でも無い。
ただ、無言。
沈黙、静寂。
それだけで充分な親子の時間は、あまりにも虚しく、寂しいものかもしれないが。
………一番落ち着く一時でもある。
レトは炎から父へ、ちらりと視線を移す。
火を挟んで反対側に腰掛けるザイは………睡眠をとっている訳では無いが、目を瞑っていた。
………こんな時で無ければじっくりと見れない父の顔。
時々、自分はどの辺が似たのだろうかと考える。
………紺色の瞳と、鼻の形は一緒だ。………大人になれば、父と同じ様な姿になるのだろうか。
(髪の色は………父さんは灰色……)
目の前をちらつく、先だけウェーブの掛かった青銀髪を見詰めて………この髪は…。
「―――父さん…」
「……人の顔をジロジロ見るものではないぞ、レト。……………………何だ…」
………気付かれていたらしい。父にはあの二つの眼球以外にも目があるのだろうか。
「………………僕の髪って、父さんとは違うよね」
「…ああ」
「……………………………母さんの色…?」
「……ああ」
「………僕、母さんと似てる…?」
「………ああ」
「………………どの辺りが?」
「…………………レト、寝なさい」
………再び目を瞑ってしまった父を見詰めながら、レトも瞼を閉じた。
………………今日は、どんな夢を見るだろうか。
………母さんの夢なら良いな。
………顔なんか、知らないけど。


