亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



ビンゴ!…という声と共に、レトは目にも止まらぬ速さで笑顔のノアにグッと迫られ、片頬を突かれた。

「その通りですよ、狩人。我々魔の者には、生まれながらに誰にも負けない主への強い強い忠誠心が根付いています。本当…よく出来た生き物ですよね。………その忠誠心があるからこそ、我々は主のために平気で命を懸けることが出来るのです」







守れ、と言われれば身を挺して敵の前に立つ。

殺せ、と言われればその身に宿す魔力で躊躇いも無く敵を滅す。

死ね、と言われれば………喜んで、主に命を差し出す。














全ては我が主のため。

敬愛する主のため。


主の望みは、私の望み。
主の幸せは、私の幸せ。
主の悲しみは、私の悲しみ。



主の命は、私の喜び。そして、生き甲斐。



私の、唯一成せる事。



















「………異常に思えるでしょう?…ええ、異常なのです。我々魔の者の主への忠誠心は……何処か歪んだ忠誠。…それはまるで………我が子への母性…肉親、友への愛情……………………一言で言うならば、そう………恋を…しているのと同じなのです」







「………恋…?」















異常な程の忠誠心。
それは愛しい者への強い愛情に似ていて………一途な恋に似ていて…。



………魔の者は、我が主に恋をする。

それはもう、一途な。







「………千年近く生きている私は、これまでに十数人のデイファレト王に仕えて参りました。………主が代わる度に、私は新しい王に恋をするのです。………亡くなられた前王への忠誠心を、あっさりと裏切る様に…私の忠誠心はさっさと鞍替えしてしまう。………それが我々魔の者の本質であると分かっていても………最低です」