亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


二人はこのノアという奇妙な人物の何かに心惹かれたかの様に、無意識で後を追って来ていた。

何処まで行っても行き止まりが無い、迷路の如き城内。いくら広いといっても、必ずいつか壁にぶち当たる筈なのだが…道は続くばかりで、一向に果てが見えてこない。



この城は、どうなっているのだろうか。
何処まで行っても、同じ景色が目に映る。薄暗い空気も、壁も、天井も、大理石の床も、どれも見飽きたものばかりだ。


…背中を凝視する二人の視線が気になるのか、気にも止めていないのか。ノアは前を向いたまま、まるで独り言の様に、静かに言葉を紡ぎ始めた。












「こんな辺鄙な場所まで足を運んで頂いて、ご苦労様でした。先程の城門から扉までの道のりですが…エコーのお嬢さん方の歓迎は些か過激だったようで。誠に申し訳ありません。彼女達は、普段はもっと大人しいレディなのですが、近頃は滅法狂暴でして。私も手がつけられない状態なのです。まぁ、あれです。仕方ないんですよねぇ」

「………こっちは死にかけたのに。…仕方ないで済まされても…」


狂暴化しているエコー達の群れに襲われている自分達を、ノアはただ何をする訳でも無く傍観していたらしい。
……腹立たしいことこの上ない。


まるで人事の様に…否、事実人事だが、我関せずといった態度ばかりをとるノアに、ユノは眉を潜めた。
本の少し早足になり、前を歩くノアとの距離を詰める。




「………ノア…って、呼び捨てさせてもらうよ。………ねぇ、ノアはどうして僕達を城に入れたのさ。…世間の噂じゃあ、来る者全てを拒む、禁断の地の化け物だってノアは言われてるよ。…その君が、僕達よそ者を迎い入れたんだ。………どういうつもりだい?」