亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

お互い苦笑いを浮かべ、軽く握手を交わした。

レトはその傍らで大きな卵を布に包み、持ち歩いている袋に入れた。


「……ザイ、何を急いでおる。………………………いつもの街嫌いか?」

「………………そんなところだ」

「…それしかないだろう?………まあいい。……………街を出る時は気をつけろ。………近頃……依頼を失敗して、文無し食料無しの狩人がうろついておる。金のある奴を殺気立った目で見ておるわ。………ザイ、お前は有名だ。………くっついておるレトも…危ない。……今は…そんな世の中だ」

「………忠告、有り難い。……………そういう連中なら…入って来た時からもう何度も目が合った。………………それもあってな………早くここから出たい…」


ザイは低い声で呟きながら、巨大な剣を鞘に納め、マントの下の背中に差し込んだ。

……横目でちらりと視線を移すと、 不思議そうにこちらを見上げる、レトの半開きだが…つぶらな瞳と目が合った。



「―――…………………これ以上はもう…充分だ」


フッと顔を背け、ザイは歩き始めた。
レトはその後ろに黙ってついて行こうとした。……途端、コムが声を掛けてきた。


「……………レトの坊主、ガキはガキなりに…父親を守ってやれよ」

「………父さんを?」



自分なんかが守らなくとも………狩人の父は強い。守る必要さえある筈が無いのに。



どんどん先に行ってしまう父とコムを交互に見ながら、レトは父の元に歩み出した。


後ろから、コムの声が聞こえた。




「………ガキでもな、小さなガキにしか見えないものも、あるんだよ。……………補うのは、お前さ」