「ほぉ……こりゃ珍しい………」
既にルーペを構えたコムが、好奇の目で卵を見下ろしてくる。
「………カーネリアンの卵は絶品だぞ。肥えた貴族の舌を唸らせる貴重品…………まだ青みがかっておるな……………完全に白くなってからの方が熟して美味い…」
「………僕、味音痴だからよく分からないな…」
「………………せっかくだ。持って行こう。………食料になるなら損は無い」
………ここは、卵を見れば………ちょっとした母性本能に似た愛着の様なものが湧くものだが、ザイやコム、はたまた幼い純情少年レトまでもが、卵はまず、食料と見なす。
何せ卵は栄養価の高いお宝なのだから。
「……これ大きいから、父さんと僕で多分……三日は食べれる量だよ」
「…熟すまで、楽しみにしておこうか。レト、お前が持っておきなさい。割らない様にな」
「……………………………お前ら、二人占めする気だな…。…………念の為訊くが……………………売る気は無いか?」
「「………無い」」
親子は揃って、しかも同じ無表情で、ちょっと飢えた目で卵を見詰めながら答えた。
コムは、舌打ちをした。
皮を剥ぎ終わり、残った肉の半分はコムが買い取り、もう半分は保存食にしてザイに渡された。
ジャラ…と銀貨が入った袋を貰い、ザイはマントを羽織り直した。
「………また機会があれば、依頼を頼むわい」
「………依頼を受ける時は依頼主の素姓は一切分からないのだぞ。………どうやってお前の依頼を受けろと言うんだ」
「ふん。………お前の目ならわしの依頼くらい、すぐに見分けられるだろうが」


