亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




首を傾げながら、レトは何度も刃を通そうとするが………カツン、カツンと、やはり何かに当たってそれ以上切り開けない。刃は空しく往復を繰り返すばかりだ。


仕方無く、一旦剣を放した。
袖を捲って皮手袋を外し、下腹部の奥に片腕を突っ込んでみた。

既にひんやりとしている肉の中を、行く宛ても無く探り当てていると………。










(………固い…)











………何か、固くて丸みを帯びた物に指先が当たった。
よく触ってみると、それは中々大きい。直径は大体…二十……三十センチ位だろうか。


「………どうした?」

うずくまって何やらごそごそしているレトに、ザイが怪訝な表情を向けた。

……レトは小さな両手をカーネリアンの身体に突っ込み、よいしょよいしょと何かを引っ張り出そうとしていた。



「………うん………………何か………固くて丸いのが…………………………………………っ……わっ…」


引っ掛かっていた部分が外れたのか、掴んだそれは勢いよく引き出され、その拍子にレトは後ろにひっくり返った。


地面に後頭部を打つことは無かったが、背中が痛い。

マントの前やら後ろに色んな物をぶら下げているせいだ。




しかし今は、そんな鈍い痛みにレトの意識は全く向いておらず…………天井からぶら下がった数百のランプに照らされた、両手で引っ張り出したそれを見上げるのに夢中だった。



………固くて、丸い。

下から、青から白へとグラデーションがかかった美しい色合い。

カーネリアンの体液に濡れ、テラテラと光る表面。














「……………卵だ」


レトは上半身を起こし、取り出した卵を見詰めた。