亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


隣を走るリストも同様の状態の様で、表に晒し出されている彼の第三の目を発見してしまったユノが、指差しながら仕切りに喚いていた。

「…人がちょっと目を離した隙に、貴様らガキはちょこまかちょこまかとこんな所まで勝手に行きやがって…!こっちの計画が丸つぶれなんだよこの野郎が!!苦労するんだよ!!………説教は、後だ!!」

……と、誰に向かって言う訳でも無く何処か上空に向かって喚いた後………リストは空いている方の手の爪を、長い鋭利な爪へと変化させた。

そのまま強く地を蹴り、イブよりも一歩早く前に踊り出るや否や………待ち伏せしていた十数匹のエコーに向かって、爪を横薙ぎに払った。




その辺の刃物とは比にならない切れ味を持つフェーラの爪は、水でも割くかの様に、エコー達の頭、胴体、腕…とにかく、触れたもの全てを、横一文字に断った。

…運良く、その鋭い一陣の風に当たらなかった僅かなエコーは、仲間の屍の残骸と血が飛び交う中を掻き分け、リスト目掛けて真正面から飛び掛かってきた。……が、それを不意打ちと捉える筈も無く。

…素早いエコーの動きも、今のリストからすればスローモーションにしか見えない。
その位置、角度、方向、速度を瞬く間に導き出した第三の目。


真っ直ぐ向かってくるエコーを避けようともせず、リストはただ長い爪を構え直し………ただ、半透明な胴体に、腕を伸ばした。







…ユノが次に瞬きをした時には、鋭利な五本の爪は、いつの間にかエコーの華奢な胴体の腹から背中を一気に貫いていた。

…宙ぶらの状態で震えながらもがくエコーの身体を、リストは傍らに投げ捨てた。
投げられる直前、突き刺さった爪がそのあまりにも切れ味がいいせいか、エコーの身体を裂いたのが見えた。





今の今まで道を塞いでいたエコーは、今はバラバラの死骸となって、散らばっていた。