加えてドールの制止も聞かず、あろうことか開いた城門の向こうへと単身で踏み込んでいった。
小さな背中が、美しいアーチ状の柱に挟まれた城への道の真ん中を駆けて行く。
間を置かずにその後をレトは追った。
薄汚れ、錆び付いた何本ものアーチをくぐり抜けていく。足元は外同様に勿論雪も積もっていたが、建物の瓦礫や虹色に光る硝子の破片が散らばっており、踏み締める度に靴底には小さな衝撃と、パキパキと瓦礫の唸る声が響き渡った。
あの嫌気がさす会話はまだ聞こえていたが、何と言っているかは分からなかった。
聞く暇など、今は無かった。
「………ユノ…!」
すぐに彼に追い付き、前へ前へと走る彼の手を掴んだ。
―――…その、直後だった。
目にも止まらぬ速さで何か半透明な、不可思議な物体が視界の隅に現れたと思えば。
それは、がむしゃらに駆ける二人の目の前に飛び出してきた。
「―――…っ…!?」
目と鼻の先に現れた存在に、思わず足を止める二人。
目を丸くし、肩で息をしながら、ユノは一歩後ずさった。
突然飛び込んで来た揚げ句、道を遮る様に正面でじっと佇むそれは………紛れも無い、魔獣エコーだった。
全身が半透明で、下半身が魚の人魚の様な姿だ。
細い手の指先には鋭い爪が光っており、薄い水掻きが膜を張っている。
人間の子供同然の童顔に収まった、真っ白に濁った二つの丸い目が………ユノを…レトを…背負われているドールを、興味深げに見詰めている。
地面に垂れた尾びれが、時折左右に地面を叩く。叩いた後、その身体を覆う粘膜なのか何なのか、粘着質な液が地面に糸を引いていた。
…白い眼球は三人を見回した後…不意に、ユノを捉えた。
小さな背中が、美しいアーチ状の柱に挟まれた城への道の真ん中を駆けて行く。
間を置かずにその後をレトは追った。
薄汚れ、錆び付いた何本ものアーチをくぐり抜けていく。足元は外同様に勿論雪も積もっていたが、建物の瓦礫や虹色に光る硝子の破片が散らばっており、踏み締める度に靴底には小さな衝撃と、パキパキと瓦礫の唸る声が響き渡った。
あの嫌気がさす会話はまだ聞こえていたが、何と言っているかは分からなかった。
聞く暇など、今は無かった。
「………ユノ…!」
すぐに彼に追い付き、前へ前へと走る彼の手を掴んだ。
―――…その、直後だった。
目にも止まらぬ速さで何か半透明な、不可思議な物体が視界の隅に現れたと思えば。
それは、がむしゃらに駆ける二人の目の前に飛び出してきた。
「―――…っ…!?」
目と鼻の先に現れた存在に、思わず足を止める二人。
目を丸くし、肩で息をしながら、ユノは一歩後ずさった。
突然飛び込んで来た揚げ句、道を遮る様に正面でじっと佇むそれは………紛れも無い、魔獣エコーだった。
全身が半透明で、下半身が魚の人魚の様な姿だ。
細い手の指先には鋭い爪が光っており、薄い水掻きが膜を張っている。
人間の子供同然の童顔に収まった、真っ白に濁った二つの丸い目が………ユノを…レトを…背負われているドールを、興味深げに見詰めている。
地面に垂れた尾びれが、時折左右に地面を叩く。叩いた後、その身体を覆う粘膜なのか何なのか、粘着質な液が地面に糸を引いていた。
…白い眼球は三人を見回した後…不意に、ユノを捉えた。


