「―――…いるよ。………そこら中…いっぱいいる……………………僕達、ジロジロ見られてる…」
「「―――…えっ…」」
一種の恐怖さえも覚えるレトの唐突な発言に、他二人はサッと青ざめて息をのんだ。
そんなのもお構い無しに、レトは城門内を観察し続ける。
「………見えないけど………向こうは見てる。……凄い…見てる。………ずっと話してるのが…聞こえる…」
―――お客様
―――お客様
―――お客様
―――お客様
―――…小さいのが三体来た。
―――主様は?
―――主様は?
―――…主様いない。
―――…主様お部屋にいない。
―――…歓迎出来ない。お客様来たのに歓迎出来ない。
―――…主様いない。主様何処?
(………『主様』…?)
水の中で飛び交う、少女の様な甲高い声同士の会話。
はっきりと聞こえてくるその会話は、いまいち意味が分からない。
彼等の言う主様とは何だろうか。
お客様?歓迎?
「…よく分からないけど………この声…嫌な…声。………嫌い…」
…会話に混じって、笑い声が聞こえてくる。クスクス、クスクスと。悪戯を考えている少女の様に。
冷たく。
「………そんなの…知らない!…魔獣でも何でも、怖がっていたら前に進めないじゃないか!」
…途端何の前兆も無く、小刻みに震えていたユノの手が、思い切り城門を押した。
勢いよく押された門は、左右の内片方だけそのまま大きく開いていく。
ギギギギィ…と、錆び付いた門が金切り声で鳴いた。
「…ちょっと、あんた!?……あっ!こら!」
先程のドールの忠告を聞いていたのだろうか。いや、聞いてはいたが完全無視なのだろう。


