大小、長短と異なる針山を縫う様に走り抜けて行けば、見上げても天辺が吹雪で霞んで見えない真っ白な壁が視界を占めてきた。
目の前で立ち止まるユノと揃ってレトも足を止め、城壁をよく見てみると、一枚岩か何かと思っていた城壁は丹念に隙間無く詰まれた煉瓦の壁だった。
凍てついた表面には、その年月を思わせる幾つもの亀裂に、燃えた様な跡が所々見える真っ白な煉瓦の壁。
それは右へ、左へと同じく続いており、はたして城門はどちらにあるのかと首を傾げる二人だったが、ドールが指を差して方向を教えてくれた。
「………右から回った方が早いわ。…城は敷地内の最奥部だから、城門はあのシルエットから一番離れた箇所よ…」
「…ドール………君がいてくれて嬉しいよ」
「…本当に真顔で言わないでちょうだい。気持ち悪い…」
…からかいもしなければ文句も言わず、逆に感動の涙を浮かべる勢いで本気で感謝をしてくるユノに、ドールは引き攣った笑みを浮かべた。
レトはぼんやりとしながら一度軽くジャンプしてドールを抱え直し、城壁の上の、そのまた遥か上空の雪空を見上げた。
日は、まだ高い。
…だが……もうすぐその日も暮れる頃だ。
暗くなる前に、なんとかしたい。
(……城壁を乗り越える…方が、一番早いけど……ちょっと無理か…)
時間の節約を考えれば、少々体力は使うがお手軽な方法を何となく頭に思い浮かべたが、ユノもいるし、ドールを抱えていることもある。
没、かな…と溜め息を吐き、急ぎ足で先を行くユノを追い掛けようと向きを変えた。
―――そこにいるのは何?
「―――…?」
…レトは不意に足を止め、今まで見詰めていた城壁に再度振り返った。


