亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





辺りには自分達以外、何もいない。

それは一度気配を探れば分かることなのだが、言い知れぬ緊張と不安が、波の様に何度も何度もレトを襲う。
同じ場所を、この用心深い目は何度続けて映しただろうか。

こんなこと、初めてだ。









「………ほら、あれよ。………あんた達が捜し求めていた………お城よ」

背中でドールがそう言って指差した方に、レトとユノは目を向けた。

薄い赤褐色の肌の、少女の細い指先には、一面吹雪。地中から生える針山。その奥には、一際大きくて純白で、天に向かって真っ直ぐ伸びた一本の針山…。


………いや、あの一番大きなものは、針山なんてものではない。

もっと繊細で、高貴で、神々しくて。







「―――…城…だ。………………デイファレト城だ…」


雪の中に佇む、青白い城のシルエット。
それは不動で、寡黙で、しかし輝いている。
目に見える輝きなどではない。そんなちんけな安い輝きではない。

もっと違う……あの城を一言で言うならば…誇張したものよりも、ありのままの表現が良いだろう。


王無き、玉座。

賢者無き、玉座。



…無人の玉座。









高貴でありながらその主たる相応しい者がいないため、ただ空虚な輝きを放つ、その座。

あの城自体が、玉座なのだ。










ただ、沈黙を貫く。























「………よく見たら、向こうに高い城壁みたいなものが見える……………あれに沿って歩けば、中に通じる城門が見付かるよ!」

やや興奮気味のユノは、脇目も振らずに広大な城の大地を囲む城壁へと走っていった。

その後を、レトは慌てて追い掛ける。