コム爺ことコムは、端が欠けたパイプを咥えながら、「ついこの間だ…」と答えた。
「………本当…コム爺は神出鬼没だね。………こんなに用心深い商人なんてそうそういないんじゃない?」
「かかか。………お前ら親子には負けるわい………」
この何処かの民族衣装の様な、色とりどりの奇妙な服を着ているコムという名の老人。
商人と狩人の世界では、かなり有名な人物だ。
彼は珍品で貴族を相手にするやり手の商人であるが、それは表の顔。
裏っ返して見ると彼には、どんな些細な事柄も逃さず、誰にも知られず見られる事無く入手し、高値で売り付けて来る情報屋の顔を持つ。
本人は、歳をとり過ぎてもう足腰が保たないだの何だのとかぼやいているが。
………その辺の狩人顔負けの用心深さと、天敵の気配を何故か察知する勘、そして今し方披露してくれた反射神経は、まだまだ現役だと思う。
コムと父のザイは昔からの仲らしく、人見知りする性格のレトも、気軽に話せる相手だ。
「………ああ……依頼を受けたのはお前らだったな。………上等なカーネリアンは持って来てくれたか?」
「……うん。綺麗な雌のカーネリアンだよ。………あれは何になるの?」
「……えー…柔らかい羽は編み込んでマントに。鋭い方は鍛冶屋で剣の材料に、もしくは医者の使う刃物なる。目玉や舌、牙は、調合すれば良い薬になるぞ。………後は………おお、ザイ。久し振りだな」
後から入って来たザイに、コムは視線を向けた。
「………店の前にカーネリアンがある。見てくれ。ついでに解体もしたい」
「……のんびりしていけば良いのに…随分と急だな。………そう急かすな。今行くわい」
コム爺は分厚いレンズのルーペを掴み、外に出た。
「………本当…コム爺は神出鬼没だね。………こんなに用心深い商人なんてそうそういないんじゃない?」
「かかか。………お前ら親子には負けるわい………」
この何処かの民族衣装の様な、色とりどりの奇妙な服を着ているコムという名の老人。
商人と狩人の世界では、かなり有名な人物だ。
彼は珍品で貴族を相手にするやり手の商人であるが、それは表の顔。
裏っ返して見ると彼には、どんな些細な事柄も逃さず、誰にも知られず見られる事無く入手し、高値で売り付けて来る情報屋の顔を持つ。
本人は、歳をとり過ぎてもう足腰が保たないだの何だのとかぼやいているが。
………その辺の狩人顔負けの用心深さと、天敵の気配を何故か察知する勘、そして今し方披露してくれた反射神経は、まだまだ現役だと思う。
コムと父のザイは昔からの仲らしく、人見知りする性格のレトも、気軽に話せる相手だ。
「………ああ……依頼を受けたのはお前らだったな。………上等なカーネリアンは持って来てくれたか?」
「……うん。綺麗な雌のカーネリアンだよ。………あれは何になるの?」
「……えー…柔らかい羽は編み込んでマントに。鋭い方は鍛冶屋で剣の材料に、もしくは医者の使う刃物なる。目玉や舌、牙は、調合すれば良い薬になるぞ。………後は………おお、ザイ。久し振りだな」
後から入って来たザイに、コムは視線を向けた。
「………店の前にカーネリアンがある。見てくれ。ついでに解体もしたい」
「……のんびりしていけば良いのに…随分と急だな。………そう急かすな。今行くわい」
コム爺は分厚いレンズのルーペを掴み、外に出た。


