「………納得…いかないわ」
何故か肩を震わせて俯いていくドールを、ユノは冷めた視線でじっと見詰める。
「………何?……そんなにファーストキス後悔してるの?……甘いね、甘すぎる。一々落胆してたんじゃこれからの人生身がもたないよ、バリアンさん。そこの彼を見てみなよ。どんなハプニングも一陣の風…みたいに、とっくの昔に忘れてるよ」
と、彼が指差す方を見遣れば………むかつくほど能天気でボケーっとした顔で、雛鳥を手元で転がして手遊びをしている。
ああ、あたしはあんな奴にファーストキスを奪われてしまったのか。そうなのか。
…不意にまた、ドールの中で一種の悲しみが満ち溢れようとしていたが、そんな負の要因となる脳内の余計な考えを追っ払った。
「うるっさいわねベラベラと!!傷口に塩を塗るのが好きなタイプでしょあんた!!…それと…あたしの名前はバリアンじゃない!ドールよ、ドール!!年上の女性にはもっと敬意を払いなさいよ!!」
「…年上って言ったってさー……聞けばあんた12歳らしいし…一つしか違わないんだから良いじゃないか。………それとも何?お姉様って呼んでほしいの?ちょっと趣味悪い…」
「余計な事を付け足すな!!敬意を払えって言ってるだけじゃない!!………笑うな!!」
悪戯好きなユノの、ある意味悪魔の囁き的な脅威の言葉の数々に翻弄されるドール。
…何なのだ。
不敵に笑うムカつく王子と、雛鳥を逆さにして遊びつつも何だか無関心そうな狩人。
この二人、よく今までやってこれたな。
…感心する。
「………で、ドールさんは何で死にそうな状態でここにいたのかな?………さっきからそれ聞いているけど、そういう事に関しては何にも答えてくれないねー」


