「―――………………命を失う前に………………乙女の夢を失ったわ…」
「それにしては顔、まだ赤いけど―?………レト、こいつ何だかんだ言って多分君に惹かれてるよ」
「黙らっしゃい糞ガキ王子!また狙うわよ!」
「………ヒカレル?……轢かれるって意味?……危ないね…」
どうしてあの流れから、今の状態に落ち着いたのだろうか。
先程の予期せぬハプニングによりまだバクバクと波打っている己の鼓動を聞きながら、ドールは焚火を挟んだ向こう側で腰を下ろしている二人をじっと睨んでいた。
…即効性の解熱剤とは言っていたが、確かに。飲んでから10分かそこらしか経っていないというのに、ドールの高熱は徐々に下がっていた。
そのため今は頭痛も無く、視界も随分クリアになったと思う。
手足は相変わらず動かせないが、それを除けば回復は早い方だ。
その視界良好な目で、焚火に手を翳しながら会話し合う二人を見ながら………ドールは、眉間に皺を寄せた。
(………何なのかしら。………この、お人形さんみたいな二人は…)
…ドールが苛立っていたのは、二人のあまりにも整ったその容姿だった。
あの襲撃の際は、戦う事ばかり考えていて…相手の顔を見る気も見る暇も無かった。………だがしかし、今現在焚火の仄明かりに照らされている二人はどうだろうか。
…有り得ない。有り得ないくらい綺麗だ。
どうしてこうもデイファレトの人間は凡人野蛮人構わず平等に美人なのか。
しかもこの二人は男ではないか。女の自分が目を背けたくなるほど輝いているなんて………そんな…。
…これは…ジェラシー?


