最後まで言い終える前に、半分意識が無くぼんやりとしていたドールは………ガシッ、と頭と顎を押さえられた。
少し体温の低い手によって強引に、やや上に向かされたドールの視界は、急に暗くなり、息苦しく…。
…息苦しく。
………息苦しく?
…口の中に、思わず吐き出したくなるほどの苦い丸薬とお湯が流れ込んできた瞬間、ドールは自分が何をされているのか分かった。
これは、あれだ。誰が何と言おうとあれだ。
口移し、だ。
―――…途端、パッと口が離され、「はい、飲んで―」という呑気な声と共に再度強引に頭と顎を押さえられた。
反射的にごくり…と飲み込んだドールは、そのまま壁を背にズルズルと横へ傾いていき………ぱたりと、倒れた。
「………丸薬苦いけど、我慢してね。のんでも後味残るから。……僕も久しぶりに口に入れたけど、やっぱり苦いね―………………そんなに苦かった…?」
…隅でうずくまったまま、何故か動かないドールを心配そうに見詰めるレトに、原因はそうじゃないよ…とユノは呟いた。
ドールは暗がりで赤面した顔を隠しながらカッと目を見開き、金魚の様に口をパクパクさせ…一人、ぶつぶつと呟いていた。
「―――…信じらんない信じらんない信じらんない信じらんない信じらんない……誰よ…ファーストキスは甘いとか…吐かした奴は………全然甘くないわ!!むしろ苦いわ!!苦いじゃないの!!………………ああああ!!もう!!」


