当の昔に死んでいるらしいこの赤い怪鳥は、どうやら慣れない気候故か体力の消耗の末、ここでゆっくりと息を引き取ってしまったらしい。
その証拠に、身体には目立った外傷も無い。
では一体…。
…この、散乱する血の臭いは…
―――…途端、レトは背後のユノと仲良しこよしを見せ付けるかの様に繋いでいた手を解き、一瞬の内にその片手で荒々しくユノを脇に抱えた。
ユノの驚きに満ちた叫び声を無視し、その場から大きく跳び下がった。
…その直後、二人が今の今まで佇んでいた場所が………足元から、崩壊した。
地層を一枚めくったかの様に、地面からは大小の岩盤が舞い散る。
砂利や砂埃が濛々とその一帯に散乱し、地面は未だに亀裂が入り続けている。
…数メートル離れた地点で着地した二人は、さっきまでそれなりにまだ綺麗だった筈の通路をぼんやりと眺めていた。
…絶妙なバランスで壁に寄り掛かっている、めくれた地面の一部をつっついてみれば、それはすぐに傾いて倒れ、粉砕してしまった。
キョロキョロと目を泳がせるユノに対し、レトはある一点をじっと見据えていた。
奇妙な沈黙が続き、砂埃も落ち着いた頃。
………横たわる怪鳥で見えない闇の奥から…靴底で砂利を踏む音が、響いた。
ゆっくりと身構えるレトと…息を呑むユノ。自分達とは違う第三者の気配を探る様に、二人はじっとその先を見詰めた。
また、攻撃を仕掛けてくるやもしれない。警戒心を露わにする二人が次に聞き取ったのは…
何故か、笑い声だった。
しかし、弱々しい…息も絶え絶えな。


