亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

二人の親子の姿は自分達とよく似ていて……何だか…同じ匂いがした。



(―――あれも…狩人かな)




この雪国の民の八割から九割は狩人だが………実際の所、レトは他の狩人をあまり見たことが無い。


用心深く、異常な程警戒心が強い…まるで野生の獣の如き狩人は、あちこちに散乱しており、互いに遭遇しない様にしている。………色々と厄介だからだ。

それが分かっていて遭遇して来るとなると……それは必然的に最悪の事態となる。





レトも何度か、他の狩人と遭遇した事がある。

それは同じ様な子供連れだったり、若い青年だったり、老人だったり。



………その度に…。






















「―――レト、この奥の建物だ。……先に入って行きなさい」

「………依頼主ってコム爺?」

「行けば分かる」

早く行けと言わんばかりに見下ろされ、レトは抱えていた尾をそっと下ろし、指差された方にある小さな商人の店に駆けて行った。




こじんまりとした店は、商売をする気があるのかと思う程、煤やら埃やらで薄汚れていた。
………と言っても、店頭には看板も何も無いから、大体何の店なのか…それ以前に人がいるのかも分からない。



「………」

レトは扉の代わりに垂れ下がった布を捲り、明かりも何も無い真っ暗闇の店内に顔を覗かせて中を窺った。



………途端、香水に似た何だか甘ったるい香りが漂ってきた。

ああ、やっぱりだ…と確信したレトは、そのまま中に入り、天井にぶら下がった幾つものランプの一つに、明かりを灯した。








………パッと明るくなった店内。

物置部屋とさして変わらない光景の中で………見覚えのある背中を見つけた。