亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「…別件があってな。私とジンはそっちに専念する。用が終われば私も城へ向かうつもりだ。………二人とも、行動は迅速にな。解散」

ローアンの鋼の心は、イブの涙で揺れ動かす事、適わず。
完全無視を続行するローアンに、イブはギャーギャーと喚きながら縋り付いた。

「嫌嫌嫌嫌嫌ぁ―!!あたし嫌ぁ―!!せっかくの隊長との久し振りの逢瀬だったのにっ!!会ってまだ一時間も経ってないのにっ!!」

「地下道だから昼夜問わず暗い筈だ。“闇溶け”を使っていけ。全速力だからな」

「隊長ぉ―!!あたしの目を見て!!」


…城にいても、ローアンには遊んでとせがむルウナがべったり。
昼の僅かな時間も、お昼御飯一緒に食べようとせがむルウナがべったり。夜寝る前も、絵本代わりにルーン文字辞典を読んで聞かせてとせがむルウナがべったり。


……同じ場所にいながら、ほぼ一日中ローアンはルウナに占領されているため、イブとの交流の時間は正直な話、あまり無い。
母上ぇ―、と駆け寄りながらふと振り返り、意味深な笑みを向けてくるルウナに、イブは嫉妬のあまりハンカチを噛み締め、そして歯で引き裂いている。


近頃、何故か少しずつハンカチが消えていることに首を傾げるアレクセイが、いたり。







「…後から城に向かうとは言ったが、もしかしたら私は明日の夜までに間に合わないやもしれないが…その時は二人とも、任せたぞ。………何かあったらすぐに連絡を寄越せ」

「御意」

わんわん泣き喚くイブの隣で、リストは真剣な表情で深く頷いた。
…ローアンは溜め息を吐きながらイブを一瞥し、彼女に向き直った。


…見た目は十代後半にして実年齢13歳と若い彼女だが、精神年齢に関しては幼児と変わらない気がする。