亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


…もう長いこと使われていない、抜け道。
どうなっているのかは行ってみないと分からないが…。

「………どんなに遅くとも、今日中には着くということか。…子供の足ということを考えれば、日暮れ前…くらいか…」

細い顎に手を添え、眉をひそめてローアンは考え込む。

…子供といえども、ユノ王子はなかなかの知恵者であると聞く。彼ならば、城へのルートは必ずその抜け道を選ぶに違いないだろう。
…一夜明けた今、彼等がどの辺りまで進んでいるかは憶測しか出来ないが………彼等を急いで追う事に越したことは無い。







どうやら考えが纏まったらしいローアンはその場で手を叩き、よし、と呟いた。
そして改めて、リストとイブにスカイブルーの鋭い視線を向ける。







「…指示を下す。………今現在、城へ向かっている王子と狩人の二人の追跡を命じる。追跡ルートは対象も使っているであろう例の抜け道。二人の臭いを頼りに行けば迷う事は無いだろう。………追跡は、イブ、リストの二名とする」

「はぁーい!!イブちゃん頑張っちゃいまぁーす!!任しておいて隊長!あたし追いかけっこ大好きぃ―…………………あれ?………隊長は…?」

はりきって叫びながら手を挙げたものの、竜頭蛇尾の勢いで徐々に元気が無くなり、拍子抜けした様な表情を浮かべるイブ。

………楽しい追いかけっこには違いないが……その追跡メンバーに何故ローアンが入っていないのだ。
…イブの期待を裏切る様に、ローアンは何食わぬ顔で言った。


「私は行かん」

「………………何でぇ―?………何で何で何でぇ―?」


駄々をこねる子供の様にローアンのマントをグイグイ引っ張り、じわりと目に涙を浮かべるイブ。

…やっと合流出来たというのに。