「…では、その選択を間違えないように我々がその場にいなければなりませんね。………子供一人に任せておいたらどうなることか…」
…となれば、ここはやはりユノ王子を一刻も早く捜し出す必要がある。
…振り出しに戻ってしまった様にも思えるが、今度は行き先がはっきりしている。
「…既に一夜経っていますが…子供の足です。臭いを辿れば、すぐに追い付けます」
…狩人さえも避ける危険の多い禁断の地。城に辿り着く前には、天を貫く様に鬱蒼と生えた針山地帯があるのだ。
一晩中走りつづけたとしても、容易に抜けることは出来ないだろう。
それに、無事城に着いたとしても中に入れるかどうかも分からない。
今後の行動について計画を練っていたその、最中。
真剣な会話に、第三者の声が突如割り込んできた。
「秘密の抜け道を使えば、話は別よ」
…と、背後から微笑を添えた一言を放ったのは……いつの間にやら家から出て来ていたイーオだった。
降り積もった積雪の、比較的薄い雪路を選んで、車椅子で近寄ってくる。
その優しげな瞳は一瞬だけローアンを映し、すぐに逸らされた。
「…抜け道とは………昨夜話してくれた、あの抜け道ですか?」
昨夜の会話の記憶を辿って思い出したリストに、イーオは笑顔で頷いた。
抜け道とは、昔…デイファレトの王族が戦火から逃れる際に使ったという、城から針山地帯の外まで直通している道である。
………そう言えば、ユノとレトは二人ともその話を一緒に聞いていた。
抜け道への行き方も勿論知っている筈である。
「…抜け道は地下道になっていてね。………針山地帯を越えるには、普通なら丸一日か二日は掛かるのだけれど、抜け道を使えば早ければ半日で着くわ。…あの子達、有効活用しているんじゃないかしら?」


