息絶えてまだそんなに経たない、異臭が鼻を突く巨大なカーネリアンの屍。
そんな物を子供を含めたたったの二人で抱えて道の真ん中を通るものだから、目立つのは当たり前で、色んな視線が周りから注がれる。
「……またでかいのを仕留めたな…」
「おい、ザイ!久し振りだな!!相変わらず腕は立つ様だな!」
「…ザイだぜ…。何年ぶりだ?………ガキを連れてるぞ」
「またコム爺の依頼か?お前の常連客だな!」
先頭にいるザイに、見知らぬ人間から様々な声が掛かる。
ザイはどちらかと言えば人付き合いは悪く、寡黙で無愛想な人なのだが、不思議と顔は広い。
………見た目とは裏腹の、優しい心根が幸いしたのか。
そんな我が父の背中を見詰めながら、レトは首を傾げる。
「………先を急ぐ。すまんな」
話しかけて来る知人をその一言で軽く受け流し、ザイはズカズカと人込みを掻き分けて行く。
「…腕も相変わらずだが、付き合いも相変わらずだな」
「変わらねぇ奴だ」
「たまには俺の依頼も受けてくれよな!最近はマシな狩人がいないからな。礼儀がなっちゃいねぇ」
背後からは、そんな苦笑混じりの声が聞こえてきた。
「………」
周囲からの好奇の目を感じながら、レトは目を合わせない様に進んで行く。
人々の殆どは上手く避けて行ってくれるが、時々ぶつかる。
ひたすら黙って歩いていると、わざとらしくぶつかってきた奴がいた。
ぼんやりとした顔で何気無く視線を向けると、自分よりも幾つか上の少女が、こちらを睨み付けながら横切って行った。
少女の手を引くのは、ガタイの良い父親と思われる男。


