デイファレトに無事王が君臨することは分かったが、祝福の光が二本とはどういう事だろうか。
ローアン曰く、光の柱はこのデイファレトとバリアンに昇るらしい。
………バリアンも?
「…何故、バリアン?………あそこはもう既に老王がいるじゃないですか。………息子の王子様と王位交代…?」
バリアンの王は、もうすっかり老いた老人だ。
政権交代の時期と言えばそうなのかもしれない。だとすると、王位は第一王子に渡ることとなる。
………だが。
(………どうして今…なんだ…?)
…この時期に合わせる必要はあるように思えないが。何か意味があるのか。
………それとも…。
「………何がどうなるのか、この予知だけではさっぱりだな。…とりあえず、バリアンの事はダリル達に任せてある。我々が専念すべきは、このデイファレトだ。………加えて予知には、そのデイファレト王君臨の際に起こる事も書かれてある」
…これがまた…訳が分からなくてな…と、小言を漏らすローアンの代わりに、ジンが普段寡黙なその口を開いた。
「……デイファレトの若き王として選ばれた者は、玉座につく前に選択を迫られる…とあります。その選択でどちらを選ぶかによって………世界の有無は決まる…と」
「………選択?……世界の有無って…えらく重大な選択肢だな…」
…つまり、あのユノ王子が無事城に辿り着いても、その選択を間違えれば…全てが泡と消えるのだ。
少年の一存で、この世の全てが決まる。
あんな小さな子供が、全ての鍵を握っているなんて。
「…その選択というのが…実は、はっきりとしておりません。二択ある内………一つは…己の“消滅”。………もう一つが………残念ながら不明です。しかし、どちらの“消滅”を選ぶか…とありますので、もう一つの方も何らかの消滅であることは確かだと思われ……っ!?」


