…しかし、敵の目的はデイファレトの王政復古阻止であって、王族を見付け次第殺害と命令が下っている筈だ。
生かされている…とは少々考え難い。
(………じゃあ…何者なんだ?………………レトを何処にやったんだろう…)
…分からないことだらけである。
もう少し情報が欲しい…と、ユノは薄いドアに耳をぴったりと付け、向こうの会話に神経を集中させた。
「―――…だけど…その道も安全とは限らないわよ。もう何十年もほったらかしで誰も使っていないだろうからねぇ…。…途中で崩れていたりするかもしれないわ」
「…しかし、他に当てはありません。試しに行ってみる価値はある。………その道はどう行けば…?」
「…まず、この村から北西の方角に出て、それから森と針山の境目を探してちょうだい。そのまま北へと歩いていれば、洞穴がある筈よ。中は煉瓦造りになっていたから、すぐに分かると思うわ」
…薄暗い中、ユノは怪訝な表情を浮かべる。
若い男の方は、老婆に道を尋ねている様だが…。
(……城への…抜け道の行き方?…どうしてそんなことを聞いて…)
ますます怪しい。どういった目的で城へなどと。…やはり自分達の事にも深く関連して…。
「…それはそうとして」
…と、何故か溜め息混じりの男の声が次に聞こえてきた途端。
―――…寄り掛かっていたドアが、突然開いた。
全体重をかけていたユノの身体は当然の如く、開け放たれたドアに伴って明るい隣室に倒れ込んだ。
「―――…痛っ…!?」
思いがけない不意打ちに受け身も取れず、ユノは顔面から床に倒れた。
…ガバッ、と反射的に起き上がれば、呆れ顔の黒髪の青年と目が合った。


