亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





……ゼオスの話が、よく分からない。







大長は既に死んでいて………死んでいるにも関わらず、『鏡』は大長を映し続けていた。
………不可思議なことに、さも生きているかの様な、偽りの大長の姿を。


…今になってようやく、『鏡』は大長の死体を映した。







何故だ。

何故『鏡』は、偽りを映していたのだろうか。
当のゼオスもそのことについては何も知らないようだが…。

















(………………あの…側近が…?)








…何かあるとすれば、あの側近…ケインツェルしかいない。
あの男が、何かしたに違いない。
………しかし、何をどうしたのだろうか。


あの男は…。













「―――…っくあ゛…!」


―――…途端、地に両手を突いて身体を起こそうとしたハイネの背に、固い靴底が勢いよく減り込んだ。
まるで虫か何かを踏み潰すかの様に、全体重をかけてハイネを踏むゼオス。

楽しげに笑いながら、剣の切っ先を彼の首元にピタリとあてる。
金属独特のひんやりと冷たく固い感触が、冷え切った肌に伝わってくる。


「………下らねぇ茶番劇は終いにしようぜ。…悪いな……早いところお前らを殺って、上に連絡しねぇといけねぇんだよ。………王族も捜さねぇといけねぇし…やることは山積みだな………面倒臭ぇ…」






もう少し遊びたかったが…と呟き、ゼオスは首元にあてていた鋭利な刃を傾けた。

切れ味のいいそれはすぐに彼の肌に赤い線を刻みこむ。