相変わらず笑い続けるゼオスに、ドールは鋭い視線を向けた。
………侮辱だけは、彼女の一人前のプライドが許さなかった。
「………何の事かしら?……脳みそまで筋肉で出来た馬鹿に、馬鹿と言われる筋合いなんて無いわ…」
「…おかしいからおかしいと言っただけさ。……お前の言っている事がな。………大長を助ける、だと?……ハッ………おめでたいガキなこった……。………どうやって助けるつもりだ?……無理な話だ…」
「…無理なんかじゃないわ!……大長は…必ず……!」
おめでたい?
ふざけるな。
助けると言ったら助けるんだ。
そうだ。今『鏡』でバリアンにいる仲間に伝えてもいい。大長を助けるよう、部下に指示したっていい。
一刻も早く牢屋から出してあげないと。
来るしそうな大長を。
お父様を。
「ふざけてなんかいないわ!助けられないとでも言うの!?どんなに厳重に城を囲んだって…どんなに兵士を送り込んだって………絶対に助けるわ!!何が言いたいのよ!!あたしはおかしくないわ!!あんたに何が分かるっていうのよ!!馬鹿にしないで!!馬鹿に…馬鹿にしないでちょうだい!!」
ドールは、叫んだ。
自分の決意を否定された様な気がして……違うと、叫んだ。
こんな奴に分かってたまるものか。
こんな奴に、自分達の絆の深さなど分かりはしないのだ。
何がおかしい。
何がおかしいの。
………それまでにやけていたゼオスの表情から…ふっと……笑みが消えた。
大声を張り上げて肩で息をするドールを、ゼオスはじっと見据え………低い声音で、呟いた。


