亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


相変わらず笑い続けるゼオスに、ドールは鋭い視線を向けた。
………侮辱だけは、彼女の一人前のプライドが許さなかった。


「………何の事かしら?……脳みそまで筋肉で出来た馬鹿に、馬鹿と言われる筋合いなんて無いわ…」

「…おかしいからおかしいと言っただけさ。……お前の言っている事がな。………大長を助ける、だと?……ハッ………おめでたいガキなこった……。………どうやって助けるつもりだ?……無理な話だ…」

「…無理なんかじゃないわ!……大長は…必ず……!」



おめでたい?



ふざけるな。


助けると言ったら助けるんだ。


そうだ。今『鏡』でバリアンにいる仲間に伝えてもいい。大長を助けるよう、部下に指示したっていい。


一刻も早く牢屋から出してあげないと。

来るしそうな大長を。









お父様を。




















「ふざけてなんかいないわ!助けられないとでも言うの!?どんなに厳重に城を囲んだって…どんなに兵士を送り込んだって………絶対に助けるわ!!何が言いたいのよ!!あたしはおかしくないわ!!あんたに何が分かるっていうのよ!!馬鹿にしないで!!馬鹿に…馬鹿にしないでちょうだい!!」















ドールは、叫んだ。

自分の決意を否定された様な気がして……違うと、叫んだ。
こんな奴に分かってたまるものか。
こんな奴に、自分達の絆の深さなど分かりはしないのだ。



何がおかしい。


何がおかしいの。


















………それまでにやけていたゼオスの表情から…ふっと……笑みが消えた。


大声を張り上げて肩で息をするドールを、ゼオスはじっと見据え………低い声音で、呟いた。