剣を交えるならば、一旦ここから外に出なければならない。…しかし、その唯一の出入り口の前に佇んでいるのはゼオスである。
いつの間にか、逃げ場の無い状態となっていたのだ。
「……最初から…だったんだな。……………最初から、こうするつもりだったんだな…お前らは」
強烈な鈍痛が走り止まない腕を押さえながら、ハイネはポツリと呟いた。その背中を、ドールは驚愕の表情を浮かべて見詰めた。
「……最初からって…どういう意味よ…!…あたし達は………」
「………薄々そんな気はしていたんだ……。長…そうですよ………俺達は、こいつらにとっては厄介な敵でしかない。……生かすつもりなんか、さらさら無かったって事です。……王族暗殺の計画に使うだけ使って……使い捨てですよ…」
「使い捨て…?…使い捨てって……そんな…!…だってそれは…話が違うじゃない…!」
話が、違う。
この計画に協力する際、自分は条件を出した筈だ。
少しでも妙な真似をすれば…。
「……内紛が勃発しても良いっていうの!?」
「―――馬鹿が。それが狙いだ!」
条件として、バリアンが裏切る事あらば即刻今の停戦状態を解き放ち、反国家組織である三槍はクーデターを起こす…としていた。
しかしゼオスは、正にそれが狙いだと、断言した。
それが狙い?
どういう意味だ。こちらのクーデターを恐れて停戦を宣言してきたのは元はと言えばバリアンの老王。臆病な老王はその停戦が破られることを何よりも恐れている筈だというのに。
困惑するドールの姿が面白くて仕方ないとでもいうかの様に、ゼオスはその品の無い笑みを更に深める。
「…内紛を恐れているのは、正直な話陛下だけだ。…俺達は何も恐れてやしねえよ……お前等を叩きのめせる時が来るのを、随分と待った。………存外数の多い賊退治は、そんなに容易じゃねえ。……雑魚の群れをまとめて始末する方法が見つからなかった。…だがしかし……考えを少し変えちまえば、さして問題でも無かったのさ」


