「……ハイネ…」
…胸騒ぎがする。奴の奇妙な挑発も気になるが、先程の意味深な言葉が、頭の中で何度も何度も繰り返し響き渡っていく。
終わり。
終わり。
役目が、終わり。
…役目?
……自分達の、役目…?
それは…。
「…駒としての役目が、終わった。……哀れな事だな…ここにいる本当の意味も、何も分からないまま……手の内で転がされていたなど…」
何が、おかしいのだろうか。兵士は小刻みに肩を震わせ、哀れ哀れと連呼しながらクツクツと喉の奥で笑う。
……訳が分からない。どうして奴が笑っているのか。何が哀れなのか。何が…。
「……本当の意味…?」
そう呟くドールの、揺れる瞳に移った景色の片隅にあったハイネの姿が…突如、前に躍り出てきた。
「…そんなもの……今更考えるのも下らねえだろうが…!」
どうにかして抑えていた我慢も、とうとう限界を超えてしまったらしい。
刃の鈍い光沢と共に、彼は兵士目掛けて突進していた。
両者の距離が、グンと縮まっていく。
…直後、今の今まで大人しくしていたサラマンダーが、背後で弱々しい奇声を上げた。
洞穴の外を、凝視しながら。
熱り立った彼の背中は、前へ…前へ。
怪鳥の奇声に塗れた、この狭い様な広い様な空間。
制止しようとするドールの手が宙に伸び、彼女の声が、辺りに反響した。
「……ハイネ!…待っ…」
「その通り。下らねぇさ」


