この作戦では、主力の前衛はドール達。バリアン兵士等は王族の護衛の注意を引き付ける後衛役だった。
後衛はドールが空の魔石を使用するまでの戦力であり、役目が終われば撤退。
作戦が成功しても、失敗しても、両者は後ですぐに合流…という手筈だった。
合流として指定していたこの洞穴で、ドール達は一体何時間待ったことやら。ひたすら待ちぼうけだった。
「………待っても待ってもいらっしゃらないから……皆死んでいるのかと思っていたわ。………ご無事で、何よりね…」
生還者は一人だけみたいだけど…と呟きながら、ふん、と鼻で笑うドール。
元からだが、やけに無口なバリアン兵士はちらりと二人を一瞥するのみで、何も言い返してこない。
うんともすんとも反応を見せない兵士に腹が立ちつつも、本題はそこではないと割り切る二人は苛立ちを強引に抑えた。
喧嘩をするために合流したのではないのだから。
ハイネは舌打ちし、剣から手を離した。
「……それで…?…俺達は昼間、見事に玉砕……王族のガキに致命傷を負わせたはいいが、どちらにせよ作戦失敗に終わった訳だ。………これからどうするつもりだよ…兵隊さん…」
今後の計画は、どうなっているのか。
癪に触るが、こちらは与えられた仕事を文句一つ言わずにやっている。指図されなければ動かない。
…作戦失敗の後の任務は、既に上から命令が下されている筈だ。
また…何を言われるのか知らないが。
「……あの側近…陰険眼鏡は、何とおっしゃったのかしら?……高見の見物気分でしょうね…」
…この大規模な計画の全ての指揮は、陰険眼鏡こと側近のケインツェルである。
あの男の、見る者全てを不快にしかさせない悪魔の如き笑みが脳裏を掠める。


