亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




この作戦では、主力の前衛はドール達。バリアン兵士等は王族の護衛の注意を引き付ける後衛役だった。

後衛はドールが空の魔石を使用するまでの戦力であり、役目が終われば撤退。

作戦が成功しても、失敗しても、両者は後ですぐに合流…という手筈だった。

合流として指定していたこの洞穴で、ドール達は一体何時間待ったことやら。ひたすら待ちぼうけだった。



「………待っても待ってもいらっしゃらないから……皆死んでいるのかと思っていたわ。………ご無事で、何よりね…」

生還者は一人だけみたいだけど…と呟きながら、ふん、と鼻で笑うドール。

元からだが、やけに無口なバリアン兵士はちらりと二人を一瞥するのみで、何も言い返してこない。

うんともすんとも反応を見せない兵士に腹が立ちつつも、本題はそこではないと割り切る二人は苛立ちを強引に抑えた。

喧嘩をするために合流したのではないのだから。
ハイネは舌打ちし、剣から手を離した。





「……それで…?…俺達は昼間、見事に玉砕……王族のガキに致命傷を負わせたはいいが、どちらにせよ作戦失敗に終わった訳だ。………これからどうするつもりだよ…兵隊さん…」


今後の計画は、どうなっているのか。

癪に触るが、こちらは与えられた仕事を文句一つ言わずにやっている。指図されなければ動かない。
…作戦失敗の後の任務は、既に上から命令が下されている筈だ。
また…何を言われるのか知らないが。


「……あの側近…陰険眼鏡は、何とおっしゃったのかしら?……高見の見物気分でしょうね…」


…この大規模な計画の全ての指揮は、陰険眼鏡こと側近のケインツェルである。
あの男の、見る者全てを不快にしかさせない悪魔の如き笑みが脳裏を掠める。