「………“ありつづける”…?」
「………そう」
リストの怪訝な表情に、イーオは小首を傾げて、やはり…笑うばかりだった。
「…ありつづけるのよ。私が出そうとしない限り…抜いた全てのものが…………死ぬまでね」
そう言ってゆっくりと顔を背けると、イーオは車椅子を進め、暗闇に塗れた暖炉に火を点し始めた。
少しして、濃い赤の光が視界に現れた。
「…その王子様は、隣の部屋に寝かせてあげてちょうだい。あちらの方が暖かいの。………うるさくしては可哀相だから、私達はこの部屋でお茶でも飲みましょうか。焼いたばかりのパイもあるのよ」
「チチチッ。チッチッチー」
よく煮詰められた果実を口に含めば、なんとも香ばしい匂いと、ほのかな甘いお酒の風味が広がった。
…なかなか美味な菓子である。
甘過ぎず、苦過ぎず。
相当の腕が無ければ、これほどバランスの良い味と風味は出ない。
それに添えられた紅茶も、一体何の葉を使っているのか知らないが、味わったことのない…これまた美味な紅茶である。
艶のある黄金色のパイ生地の端を小さな嘴が啄もうとするのを、素早いイブの握るさじが遮った。
…銀色に光るさじの向こう側から、アルバスの恨めしげな潤んだ瞳が、イブをじっと見詰める。
「………そんな目で見たって、あげないんだから…」
「……チチ…」
小さなテーブルの上の雛鳥と、食べかけのパイを挟んで睨み合うイブを遠巻きに眺めながら、イーオは静かに笑っていた。


