…上昇したかと思えば、地上へと真っ逆さまに落下するサラマンダー。
撒き散らした瓦礫によって不意を突くや否や、イブはたった一回の跳躍で怪鳥よりも更に上へと跳び上がった。
薄暗い純白の空に、燃える羽の赤と小さなマントの黒が映える。
鳥の上を取ったイブは、それはそれはもうご満悦な笑みを浮かべて………怪鳥の大きな背に、思い切り踵落としを放ったのが……見えた。
自慢の羽ばかりか、大事な背骨が折れたのは間違いないだろう。相手が悪かった…。
少し離れた場所で、積雪に突っ込んだ様なくぐもった衝撃音が響き渡り、真っ白な粉塵が噴水の様に舞い散るのが確認出来た。
その直後、溜め息を吐くリストの傍に、イブが華麗に舞い降りた。
「あー、すっきりしたー」とでも言わんばかりのご機嫌な笑みを浮かべている。
「………………満足か?」
「満足満足ご満悦でありまーす!」
「そりゃあ良かった。良かったな。だから片方ガキを持て」
両脇に抱える意識の無い二人の子供の内、狩人の少年をイブに渡した。思い切り投げられたりと荒い扱いをされたにも関わらず、少年の瞼は相変わらず固く閉じられたままだ。
命に別状は無いが、いつまでたっても覚醒しないのは心配だ。………いや、今起きてもらっても困るが…。
狩人の少年をイブに渡し、リストは粉雪に塗れた景色の四方八方を見回した。…元々鋭い彼の目が、更にその鋭利さを増す。同時に吹き付ける冷たいに風を本の少しだけ嗅いだ。
「……ずらかるぞ…。………また面倒な事に巻き込まれる前にな…」
―――雪を踏む足音と微かな息遣いが、聞こえる。
そしてそれは一人ではない。………集団だ。
それらとの距離はだいぶあるが…。
(…こっちに向かって来ている)
追跡…されているらしい。


