亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



…上昇したかと思えば、地上へと真っ逆さまに落下するサラマンダー。

撒き散らした瓦礫によって不意を突くや否や、イブはたった一回の跳躍で怪鳥よりも更に上へと跳び上がった。
薄暗い純白の空に、燃える羽の赤と小さなマントの黒が映える。

鳥の上を取ったイブは、それはそれはもうご満悦な笑みを浮かべて………怪鳥の大きな背に、思い切り踵落としを放ったのが……見えた。


自慢の羽ばかりか、大事な背骨が折れたのは間違いないだろう。相手が悪かった…。

少し離れた場所で、積雪に突っ込んだ様なくぐもった衝撃音が響き渡り、真っ白な粉塵が噴水の様に舞い散るのが確認出来た。
その直後、溜め息を吐くリストの傍に、イブが華麗に舞い降りた。
「あー、すっきりしたー」とでも言わんばかりのご機嫌な笑みを浮かべている。


「………………満足か?」

「満足満足ご満悦でありまーす!」

「そりゃあ良かった。良かったな。だから片方ガキを持て」

両脇に抱える意識の無い二人の子供の内、狩人の少年をイブに渡した。思い切り投げられたりと荒い扱いをされたにも関わらず、少年の瞼は相変わらず固く閉じられたままだ。

命に別状は無いが、いつまでたっても覚醒しないのは心配だ。………いや、今起きてもらっても困るが…。

狩人の少年をイブに渡し、リストは粉雪に塗れた景色の四方八方を見回した。…元々鋭い彼の目が、更にその鋭利さを増す。同時に吹き付ける冷たいに風を本の少しだけ嗅いだ。



「……ずらかるぞ…。………また面倒な事に巻き込まれる前にな…」














―――雪を踏む足音と微かな息遣いが、聞こえる。



そしてそれは一人ではない。………集団だ。






















それらとの距離はだいぶあるが…。

























(…こっちに向かって来ている)


追跡…されているらしい。