亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~














…そんなこんなで偶然にも拾ってしまった異物は荷物となり、現在、二人の脇に抱えられてゆらゆらと揺れている。

大急ぎで先へと進む二人は案の定敵の鳥に見つかってしまい、現在進行形で逃亡をはかっていた。


背後から放たれる数本の火柱を避けながら、リストは深い溜め息を吐く。

…この旅は何かと前途多難…とにかく面倒臭いだろうなと危惧していたが、やはり予想は的中していた。
出くわすもの、拾うものの多い運命なのだろうか。







………しかしながら……拾ったものがまさか………。





















「―――………人間…とはな…」









ポツリとぼやきながら倒れた大木を飛び越え、脇に抱えた『荷物』ならぬ………人間を、一瞥した。














マントに包んで抱えた人間は意識が無くぐったりとしていて、今のところ、何をしても目を覚ます気配は無い。

…見たところ、まだ十歳かそこらの子供だ。
華奢で色白で、このデイファレトの民共通のやけに美しい少女の様な容姿だが……どうやら、少年のようだ。
鮮やかな濃い青に染まった長い髪が、積雪の白の中で輝いて見えた。人形の如き整ったその顔には……生気が、感じられない。
外傷は何処にも無いのだが、何故かその身体は酷く衰弱していた。唇は紫を帯び、肌は真っ青だった。

…だが、辛うじで息がある。ほとんど虫の息だが、まだ助かるかもしれない。
………それに、この子供…。


微かだが…。

























(………陛下と…同じ匂い…?)






全てでは、ない。人はそれぞれ異なる匂いを持つものなのだが…この子供………本当に微かに、ローアンと似た香りがするのだ。