亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



「別に…何枚に下ろしても良いけどさ…今時間無いから、また今度ね」

…普段はやりたい放題勝手に動き回るイブから、そんな大人な言葉で宥められるのは妙に腹立たしいが……状況が状況だ。ここでムキになって言い返すのは大人げないと判断した。


「………俺は昔からあの鳥が嫌いなんだよ…。…城の上空を我が物顔で蝿みたいに飛びやがって……」

過去……堪忍袋の緒が切れた挙句同じ幹部であった、かの怠け男から槍を強奪し、偵察に来ている頭上の鳥を突き落とそうと投げる構えに入ったのを、何度…前総団長に止められたことか。

その度に、「鳥は飛ぶもので、羽ばたくもので、飛ぶも…とにかくああいうものだから」と必死で 説得されたが……今思うと、何の説得にもなってないことに気付く。それで怒りを沈めていたあの頃の自分は、何だったのだろうか。

ただの馬鹿か何かか。


「射落とすか何かすれば良かったのに。いい的よねー」

「……お前のところは射落としてたのかよ」

「うん。あんた達みたいな紳士と違って、うちは血の気の多い集団だったからね」

さらりと言い放つイブに、今度はリストが呆れる番だった。


イブの勢力側も過去…偵察で送り込まれたサラマンダーが上空を飛ぶ度に、血の気の多い仲間達が弓を片手に外へ出ていたものだ。凄まじい殺気を放ちながら、無言で。

イブは弓が扱えないが、悪乗りで拳大位の石を投げて落とそうとしたことが多々ある。
その頃現役兵士だったローアンはその乱行を止めるどころか、「外した者は明日が無いと思え」と無駄なプレッシャーを与えて兵士等を見ていたし、かの天然な女性兵士に関しては笑顔で応援までしていた。



ああ、懐かしい。