亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「………兄上。…………未亡人とはいえ、人妻ですぞ。………いえ、その前に大国の王です。………………兄上の相手をしにわざわざ来られた訳では無いのですよ…」

苦笑混じりのリイザの言葉に、周りは一斉に頷いた。


「……弟君は誠、賢才な方ですね。………アイラ王子、告白の練習ならいつかまた付き合いますわ。…………………アレクセイ、その構えを解きなさい」


すぐ後ろで、黒いオーラを漂わせるアレクセイが、いつのまにか暗殺術の構えに入って今にもアイラに襲いかかろうとしていた。


ローアンに言われ、何事も無かったかの様に人の良さそうなお爺さんに戻るアレクセイ。…殺気など、微塵も感じられない。


ローアンは、微笑で微笑のアイラに振り返り、小首を傾げた。

「…お戻りになったらどうですか?アイラ王子」

「アイラとお呼び下さい。いつかまたお話出来る機会を楽しみにしております」

「ええ。来世辺りにでも」


髪を撫でてくるアイラの手を、優しく…しかし蠅でも追い払うかの様に軽くはたき、ローアンは老王に改めて向き直った。











「―――………では、バリアン王」














ビクッ…とさっきと変わらぬ反応を見せる老王。ローアンは可愛らしい笑顔を浮かべて、腕を組み………………………老王に焦点を合わせた。



























「―――…本題に、入りましょう」