亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



レトは何処だ。何処にいる。
彼は大丈夫なのか。

何処にも、見えない。

何処にも、いない。







「………お母様っ………!下ろして!………下ろし…て!!」


激しい頭痛に苛まれる中、ユノはありったけの力を振り絞り、走るサリッサの腕から逃れた。

「ユノっ…!?」

地に下り立つや否や、ユノは母を無視して再び蒸気に塗れた世界に飛び込んだ。

そのまま真っ直ぐ突き進まず、回り込む様に進路を進めた。


…自分を呼ぶ、悲鳴にも似たサリッサの声は次第に遠ざかり、聞こえなくなった。



























『狩人』という奴等は、野蛮で凶暴で命知らず。
大人数でたった一人を囲んだとしても、油断は禁物。
それなりの犠牲が出るのは覚悟しておく事。


………とにかく、危険な敵。

最も注意すべき相手である………ということは、分かっていたつもりだったが。

………何処かで自分は、己の力を過信していた様だ……と、ドールは思った。


「………ちょこまかと…!」

小さく舌打ちし、目の前にいる小さな狩人に向かって鎚を振るった。

ドールの攻撃はかなり素早い筈なのだが、目の前の敵は無言でヒラリヒラリと躱していく。
……いくら振っても、当たらない。…段々と苛立ってきた。

(………ガキ相手に…!)



そうだ……自分が相手をしているのは狩人といえども、ガキだ。

背丈はほぼ同じくらい。本の少しだけ、ドールの方が背が高いくらいだ。
深く被ったフードでその顔は分からないが、きっといけ好かない顔をしているに違いない。
剣やらナイフやらを大量に所持しているというのに、この身軽さは何なのだろうか。