亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


あの怪鳥は、真っ直ぐ突っ込んで攻撃をして来る様な馬鹿じゃない。
吹雪に身を隠し、気配さえも殺してこちらが油断した隙に………一瞬で突いてくるのだ。

……今現在、足元で地面の窪んだ所に頭を突っ込み、歌っているアルバスの母鳥がそうだった。

カーネリアンと考えてもおかしくはない。





………だが傍らに立つザイは、息子の考え抜いた答えに眉をひそめた。

「………レト………」



それは違うな…と、上空を見上げるザイの鋭い目は言っていた。

…カーネリアンでないならば、何なのか。

もしかしたら、メルベリン…?





ザイは二、三歩レトから離れ、剣を構えたまま、静かに身を屈めた。

………それはどんな時でも咄嗟に走り出す時の構えだ。
レトも空を見詰めながら、いつでも走れる様に静かに構えた。







真っ白な空に、また一瞬だけ……大きく羽を広げた鳥のシルエットが横切る。


「………レト……答えとは………時として、予想に反するものもあるという事を………覚えておきなさい。………………よく見ろ……レト……」

「………」






また、鳥の影が横切った。

………自分達の頭上を、旋回している様にも見えた。
ただただじっと、見据えていると…。







………白しかない空の向こうに………キラリと瞬く光が、浮かび上がった。




「………カーネリアンが…」














……その瞬間、ザイは地を蹴って後方に駆け出し、サリッサとユノをまとめて両脇に抱えた。









見詰める先の光は………。






―――熱気を放つ、赤。














「―――…火を…吹くかっ………!」