まだ何も言っていないのに、ザイはユノを抱えたサリッサを下がらせ、レトの元に駆け寄り、すぐさま自分と同じ様に上空を見上げた。
サリッサとユノの表情が、一瞬で曇る。
「………何が見えた…」
「……よく…分からないけど…」
互いに猛吹雪を睨み、無意識で剣を鞘から抜き出す。
耳を澄ませど、目を凝らせど、確認出来るのは吹雪の存在しかない。
しかし確かに………見たのだ。
「………鳥……みたいだった………」
一瞬だけ瞳に映った朧気な影を思いだし、それが何物なのかを懸命に考える。
あの速さ、大きさ、形……。
鳥…の、シルエットであった。
…野鳥くらい、このデイファレトには幾らでもいる。
しかし、あの大きさは野鳥だなんてものでは無かった。
………悠に、二メートル……三メートルはあった。
そのくらいの大きさならば、種類は野鳥ではなく、必然的に怪鳥へと移る。
………この国にいる怪鳥も様々だが……中でも賢く凶暴で、狩人内でもこれを狩る事が出来れば一人前、と言われているのが………怪鳥、メルベリン。そしてカーネリアンだ。
メルベリンは凶暴だが、少々頭が悪い。よく密猟され、売買されているとか。
比べてカーネリアンは凶暴さと賢さを供えた恐るべき怪鳥だ。人間のいる場所には近寄りもしないため、狩られる事は滅多に無いし、見た事も無い…という人間の方が圧倒的に多い。そのためその生態も、謎が多い。
………この辺りは人など滅多に来ない場所。
怪鳥の一羽や二羽、いてもおかしくない。
彼等の縄張りにでも入っていたのだろうか。
「………カーネリアンかな………?」


