亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~







歩けど歩けど、空と地面が雪だらけなのは、変わらない。

四方八方見回しても真っ白な風景が広がっているだけで、心なしか、方向感覚が麻痺しそうになっていた。




だが、その飽きに耐えた成果なのか………一行の視界には、久方振りに少し違った風景が微かに映りだした。

全員が見詰める高い森の樹々の天辺の向こうに、ぼんやりとした影。






………尖った岩の群れの姿。………針山地帯だった。


「………見えてきたな。………………あともう少し歩けば、森から出るだろう…」

…と、期待に胸踊る台詞を吐くザイだが、ザイの『あともう少し』は数時間…もしくは半日を意味する事を、ユノとサリッサはこの旅で学んだため………正直な話、まだ喜べない。

しかし、次なるコースの針山の面影が見えてきただけでも、ここは喜ぶべきだろう。

「………森を抜けたら、針山に入る前に一息吐こう。………様子を窺ってから進む…」


この辺りは既に『禁断の地』の近辺。いきなり入るのは危険だ。
先を急ぎたいが、急ぐあまりに警戒が疎かになってはならない。

この雪国をひたすら歩き回る狩人でも、ここから先は、何処に、何が潜んでいるのか分からないのだ。



……とにかく、未知の領域が、この向こうにはあるのだ。


「………さあ、もう少しの辛抱だ……」

「……だから………ザイのもう少しは信用出来ないんだって……」

気を引き締めて再度歩き出すザイに、サリッサの背中でユノが溜め息混じりにぼやいた。














(………高い…山だなぁ……)

雪が絶え間なく目の前霞めていく視界。
ぼんやりと映る針山の影を、レトはしげしげと眺める。