人の上に立つには、まだあまりにも小さい王様。
いくら頭脳明晰で人望が厚くとも、所詮は子供。
この雪の様に真っ白で、無知な子供なのだ。
………真っ白なキャンパスは、何色にも染まりやすい。
そして一度染み込んだその色は、なかなか落ちないものだ。
(………この子には………まだ…足りないものがあるわ…)
………足りないもの。
それが何なのかははっきりと分からないが………足りないのだ。………ユノには。
目に映るものではない。
彼の人格において、足りないものがある。
「………この辺に人がいそうな場所って無いのかい?」
「………………北西の方角に…森を抜けた所………小さな街があるけど………ほとんど誰もいないし…僕……行った事無い………」
猛吹雪の轟音の中でも、不思議と互いの声は聞き取れるのか、二人はどんな悪天候でもいつもの様に話をしている。
………この二週間あるか無いかの僅かな期間で、ユノはとてもよく笑う様になった。本当に。
息子の変化に伴い、この狩人の幼い少年も……初対面では一言も口を利かないばかりか、常に無表情な子供だったが………今はどうだろうか。
…少しぎこちないが、素直な笑顔を振り撒いてくれる様になった。
その何処か本の少し悲しげで、儚げな微笑は、少々笑顔とは言い難いが、彼らしい彼だけの精一杯の笑みだ。
…変わっていく二人。
それはやはり、互いに影響し合っているからだろう。
思いがけない人間との接触というのは、もたらす変化は大きい。
特にこの二人の組合わせは影響力が強い様だ。
(………ユノに欠けているものはきっと………この子が…見つけてくれる………)


