亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



そう答えたレトを見下ろし、ユノは雪の欠片が引っ掛かった長い睫毛を伏せて、フードの内で静かに微笑を浮かべた。




「………………なんだか………君の眠そうな顔を見ていると………何でも……どうでもよくなるな。………不思議………」


そう言って、ユノは力の無い片手をこちらに伸ばしてきた。

質の良い上品な手袋に包まれた手が、目線の高さにまで降りてきた。





「………具合が悪くなると………どうしても…寂しくなるんだ。………………レト、手、繋いでくれよ………この間の…御告げの時みたいに………」




………神声塔での御告げ。

あの時、ユノは何かにとりつかれてしまったかの様に自我を失っていた。
見ていられなくなったレトは、怖がらずにずっと側にいてユノの手を握っていた。

………ユノは意識が無かった筈なのだが………どうやら分かっていたらしい。



「……………うん…」


レトは手を伸ばし、彼の手にそっと重ねた。




指の長さや手の平の形だとか、よく見れば違う他人の手。

他人の手なのに。



………酷く、安心するのだ。

不思議なくらい。









「…………繋いでも……寒いものは寒いね………」

「………うん……」















繋がれた二人の幼い手がフラフラと揺れるのを、サリッサは視界の隅に映していた。







…街の民と、狩人。

同じデイファレトという国に住む人間ではあるが、はっきりと言ってしまえば、双方は異端者同士。

決して理解し合えない壁を持つ、他の人間。