そう答えたレトを見下ろし、ユノは雪の欠片が引っ掛かった長い睫毛を伏せて、フードの内で静かに微笑を浮かべた。
「………………なんだか………君の眠そうな顔を見ていると………何でも……どうでもよくなるな。………不思議………」
そう言って、ユノは力の無い片手をこちらに伸ばしてきた。
質の良い上品な手袋に包まれた手が、目線の高さにまで降りてきた。
「………具合が悪くなると………どうしても…寂しくなるんだ。………………レト、手、繋いでくれよ………この間の…御告げの時みたいに………」
………神声塔での御告げ。
あの時、ユノは何かにとりつかれてしまったかの様に自我を失っていた。
見ていられなくなったレトは、怖がらずにずっと側にいてユノの手を握っていた。
………ユノは意識が無かった筈なのだが………どうやら分かっていたらしい。
「……………うん…」
レトは手を伸ばし、彼の手にそっと重ねた。
指の長さや手の平の形だとか、よく見れば違う他人の手。
他人の手なのに。
………酷く、安心するのだ。
不思議なくらい。
「…………繋いでも……寒いものは寒いね………」
「………うん……」
繋がれた二人の幼い手がフラフラと揺れるのを、サリッサは視界の隅に映していた。
…街の民と、狩人。
同じデイファレトという国に住む人間ではあるが、はっきりと言ってしまえば、双方は異端者同士。
決して理解し合えない壁を持つ、他の人間。


