「………いいってば………お母様………下ろして………下ろしてよ―………」
力の入らない手足をぶらぶらさせるも、サリッサは全く下ろす気は無い様で、ユノの訴えを無視して歩き始めた。
「………」
………レトは、おんぶされて運ばれていくユノをぼんやりと…眺めていた。
…なんだかほのぼのとしたその二人の姿を見詰め、やはり二人は親子なのだな…と思った。
………そして、ぼんやり眼のレトの視線は、サリッサ達を追い越してそのまま………立ち止まっていたザイに、注がれる。
何気無いレトの視線に気が付いたらしいザイが、怪訝な表情でこちらを見てきた。
「………どうした」
「………………………………何でもない…」
…パッと視線を逸らし、レトは呻き続けるユノの元に駆け寄って行く。
無言でこちらを見下ろす父の脇を通り過ぎる際、一瞬だけ、頭に手を置かれた。
……ちょっと驚いてザイに振り返ると、その変わらぬ仏頂面の口が、小さく開いた。
「………………今度………背負ってやろう…」
「………………………………うん………」
おんぶされているユノを見て、羨ましいな…と思った事など、ザイにはお見通しの様だった。


