亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





………頭が痛い。

…ズキズキする。





………あれ?………僕…今歩いてる?………ちゃんと歩けてるのかな…。
………感覚が……無いや…。













………グンッ…と、繋いでいた手が急に重くなり、驚いたレトはユノの方に振り返った。


………焦点の定まっていない大きな瞳で地面を見下ろすユノが、ぐらりと、後ろに傾いた。


「………っ…!?」

レトは慌てて倒れそうなユノを支えるべく両手を伸ばした。
………が、それよりも早く、別の両腕が、後ろに倒れそうだったユノの身体を優しく受け止めた。



…ボスッ…と、ユノを受け止め、包み込んだのは、最後尾を歩いていたサリッサだった。

サリッサはユノの目線に合わせる様に屈み、吹雪きの中、まじまじと彼の顔を覗き込んだ。

「………ユノ…大丈夫なの?………具合が悪いのなら、先に言いなさい。…おぶってあげるから…」

「………………悪く…ない。………おぶるだなんて……丁重にお断りするよ、お母様………」


…いつもの、サリッサに向ける不機嫌な表情を浮かべ、ユノはサリッサの手を振り払おうとした。

………が、伸ばした手は逆に掴まれ、問答無用でユノはサリッサに背負われた。

母の背中に全てを預けながらも、ユノは「………いいよ………お母様、余計な事しないで…」と、うわ言の様に呟き続ける。

…本当は歩くのもキツくて仕方ないだろうに。背負われても尚憎まれ口を叩くそんな息子に、サリッサは苦笑した。


「………貴方は身体が弱いのだから………無理は駄目よ。…背負われるのが嫌でも、今は我慢しなさい。………レト君、ありがとう。ユノは私が背負って行くから、大丈夫よ」