………三日前から吹き止まないこの吹雪は、少し異常に思えた。
風の勢いは治まるどころか、緩むどころか、ただ貪欲に増していくばかりで、積雪の量も半端無かった。
刻まれた足跡が、ものの数分で凹凸など存在しない綺麗な純白の大地へと変わっていく。吹雪の歌声は不協和音そのもので、音という音を全てかき消してしまう。
…目を開ければ、どこもかしこも白いレースのカーテンを透かして見た様な奇妙な視界が広がっていた。
フードを深く被っていても、すばしっこい風は頬と鼻先を冷やし、睫毛に雪の欠片を引っ掛けていく。
………とにかく、猛吹雪だった。
どこまでも怒り狂った、荒れた雪空が大地を縦横無尽に駆け巡っていた。
その勝手な怒りも、地上を歩く側からすれば迷惑極まりない。
厚い雲の向こうで日が上っても、日が沈んでも、また日が上っても、いつまでたっても止まない吹雪。
雪空の気紛れには生まれた時から付き合っている狩人からしてみても、この吹雪にはさすがに眉をひそめた。
「………………ビュウビュウビュウビュウ………もう、うるさい…」
―――早朝。
洞穴からこの雪だらけの世界へ抜け出し、遥か北の目的地を目指してひたすら歩いていたレトとユノの一行。
城のある『禁断の地』に行く道中、越えねばならない難関の針山地帯の手前にある巨大な谷を、今にも崩れてしまいそうなボロの橋でなんとか渡りきった後。
………いつまで経っても変わらない天気に塗れながら、レトが小声で愚痴をこぼした。


