ほとんど同時に切りかかり、同時に返り討ちに合う狩人達。
…くらくらする頭を抱え、動ける者はすぐさま起き上がり弓を構えた。
肩を噛まれた狩人はよろよろと上半身を起こし、相変わらず獣の様な四つ足で威嚇するイブとリストを指差して叫んだ。
「………フューラだ………こいつら、あのフューラだ…!………気を付けろ!」
………フューラ…?
聞き慣れない訳ではないがなんだかちょっと惜しい単語に、二人は怪訝な表情を浮かべる。
「………フューラって何―?……フェーラじゃないの?」
「………知るかよ。………こっちの国では少し発音が違うんじゃないか?………そんな下らない事はいい。さっさとお去らばするぞ…」
……何百年も昔に絶滅したフューラに違いない。
……だが人間の言葉を話しているぞ。
……フューラなんてもの、まだこの国にいたのか…。
目を丸くして自分達を凝視し、互いに囁き合う狩人達。
………そんな困惑気味の彼等に視線を置いたままジリジリと後退し、二人はその場で勢いよく上空に跳躍した。
目にも止まらぬ速さで二人の影は高い針葉樹林の天辺に移り、木々から木々へと跳び移って逃亡を計った。
「…逃がすものか!」
地上から見上げる狩人達は揃って弓を構え、その甲高い弦音で空気を切り裂いた。
青みがかった光線の如き鋭い矢が、一寸の狂いも無く二人目掛けて真っ直ぐ線を引いて来る。
………こちらは常人の目では追い付けない速度で動いているというのに…なんて人間離れした動体視力だろうか。
しかも手間の掛かる弓でここまで素早く狙いを定められるとは。
………デイファレトの戦士、侮り難し。


