(………)
………とても、同じ人間を相手にしている様な感覚とは思えない。
気を抜いてはいけない。
油断してはいけない。
下手すれば………そう……。
………食われる。
自然の中で自然と共に生き、時に抗う事で養われてきた狩人の本能が、無音の警鐘を鳴らしていた。
………本能からの警告は他の狩人も同じなのか、狩人達は剣を構えてはいるが、それ以上は誰も動かないでいた。
(………埒が、明かぬ…!)
たかが小娘と小僧に何をためらっているのだ。狩人であろう者が。
戦士としてあってはならない恐れや緊張感、そして巨大な威圧感で動けぬ自分に内心で叱咤し、奥歯を噛み締めた。
「………異端者めっ!」
憎々しげに叫ぶや否や、狩人達は一斉に地を蹴った。
半分はイブの方へ、もう半分はリストの方へ、それぞれ明確な殺意を向けた。
その並外れた俊敏な動きで、あっという間に詰められる間合い。
純白の猛吹雪が視界を遮るが、この地で生まれ、生きてきた狩人にとっては、それは障害でも何でもない。
標的をはっきりと見据え、その急所を見定め、鋭利な剣先の位置を定める。
血腥い狩人の刃がイブとリストの喉を貫こうと寸前まで迫ったのは、両者ともほぼ同時だった。
そして、その瞬間、刃を前にした獲物が笑みを深めたのも。
ほぼ、同時だった。
「「―――遅いっ」」
…小馬鹿にした様な二人の声が重なった直後。
赤い、眼球が。


