………一応、ちゃんと向き合えば会話は出来る連中の様なのだが……その彼等の言う『虫殺し』とかいうものの前では、やはり聞く耳を持つつもりは無いらしい。
『虫殺し』が如何なるものかは知らないが、彼等の態度からしてとにかく良いものではないことは確かだ。
……一歩、狩人達が前に出てきた。
低く身体を屈めて、剣の柄をギュッと握り締める。
後ろ側に立つ狩人は後援なのか、狩人特有の異様に長い弓を静かに上げ始めた。
…あの弓、あんなに長くて目立つ代物なのに、どうやって持ち歩いているのだろうか。見る度に不思議に思っている。
……また一歩、最前にいる男が一歩近付いた途端。
「―――………近付かないでよ。………噛み付くわよ…」
…と、低い声で呟いたイブが、両手を地に着いて直立から四足に身構えた。
その様はまるで威嚇する猫か何かの様で、狩人達は微かに眉をひそめた。
「………噛み付く…だと?………ふっ………獣染みた娘だな…」
一人がせせら笑って言った直後、「―――…嘘は言ってないぜ」と、リストが不敵な笑みを浮かべて呟いた。
狩人達が睨み付けてくる中、リストもゆっくりとイブ同様、両手を地に突き………二足から四足の、獣の構えに移った。
「―――………言葉通りだ。………………噛み付くぜ…」
………人間でありながら、獣の様な動きをするおかしな二人の異端者。
何なのだこいつらは…と不思議に思う反面、何故か一気に肥大した緊張感に身体は身構えた。
何なのだろうか。この、狩りで獰猛な獣を前にした時と同じ感覚は。
……身体は無意識の内に、戦闘体勢に入っていた。


