(………白い悪魔ってとこかな?)
こちらを凝視してくる彼等の様子を窺いながら、イブは苦笑いを浮かべた。
一気に走ってとんずらしたいところだが、背中を向けた途端刺されるか射ぬかれそうだ。
………ここで腰の剣を掴もうものならば、あっという間に死闘の幕開けだろう。
「………」
双方とも口を閉ざし、沈黙を守り続けるばかり。
狩人達の剣の切っ先から滴となって落ちていた鮮血が、寒さで凍て付いていた。
互いの間を無遠慮に流れ続ける細々とした雪の群れ。
ただでさえ暗くて視界が悪い上に、この吹雪のベールは邪魔でしかない。
イブとリストは、白く濁った瞳で相手の僅かな動きも見逃すまいとただ睨んでいた。
………その、一番敵にはしたくなかった敵の一人が、一歩………前に、出てきた。
片手に垂れ下げた剣はそのままで、狩人の男は身構えるイブとリストを交互に見やった。
「―――……………街の民………ではない…な………?…………………………異端の者か………」
大柄な男は、唸り声の様な低い声でボソリと呟いた。
それでも何も言わない二人の沈黙を肯定とみなしたのだろうか。
………狩人達は静かに身構え始めた。
刃こぼれ一つ無い、殺生のためだけに生まれた剣を握り締め、その鋭い切っ先で滑らかな積雪を撫でた。
「………………異端、異端、異端って………………うるさいなぁ。………そこに転がってる奴等と、一緒にしないでくれる―?」
一歩後退しながらイブは、元バリアン兵士だった雪塗れの肉塊を一瞥してやっと口を開いた。
「………貴様等が何者かは知らぬが………『虫殺し』の命だ。………悪く思うな…」


