狩人等はバリアン兵士と敵対する最中、隠れた自分達を見逃す筈が無い。ここに隠れている事も勿論知っているだろう。バリアン兵士を片付けた後は、彼等の構える矢先は今度は自分達に向けられる。
………巻き込まれてしまった今、逃げる事に専念するしかない。
以前の様に“闇溶け”で逃げる手もあるが、夜明け前のリストを“闇入り”で消しながらの移動は、少し難しい。ここは谷や洞窟ほど、闇はそんなに濃くない。“闇入り”はより濃い闇を必要とするのだ。
………となると、走って逃げるしかない。
……イブだけ“闇溶け”で逃げる事は勿論出来るが、それはリストに心の底から恨まれるだけだし。
「………鬼ごっこで逃げきるのは自信あるけど―………正直、あいつらから逃げれるか不安…」
イブの中でどんどん化け物じみていく狩人の存在。
その実力は定かではないが、確かめようとは思わない。絶対。
「位置と行き先の方向の確認をしたら………一気に走るぞ…」
「アハー。……言わずもがな―…」
座り込んではいるが、いつでも走れる様に身構えるイブ。
背後から刃の交わる音が聞こえたが、直後それは肉を断つ生々しい音へと変わった。
「………俺らが目指している『禁断の地』は、険しい岩山で囲まれている。何処から行くにしても、この連なった山を幾つも越えない限り、辿り着けない…」
城周りの状態は、三国共通なのだろうか。
フェンネルもそうだが、城を囲む様に、周りは深い沈黙の森が広がっている。
自然の城壁とでも言うべきか。ここデイファレトも、城を守る様に針山のごとき岩山の群れが囲んでいる。
イブとリストがいる今の現在地は、城から見て南西の方角。
岩山の群れの外だった。


