窓の硝子代わりの氷は緑の光を反射し、半透明だが、鏡の様にはっきりと自分を映していた。
………無表情な顔が、こちらをじっと見詰めている。
無理矢理薄ら笑みを浮かべてみても、その顔は何処か憂鬱な陰りがあった。
たった独り。
座るべき者のいない玉座を眺めるのは、とても退屈で、馬鹿らしくて、無意味に思えて、欠伸が出てしまう程で、そして。
………寂しい。
寂しいよ。
独りは、寂しいのです。
「………お眠り下さ―…い―………私が側に…ついてます―………。……………目覚めの、朝……………朝の、目覚め…」
ほら、やっぱり。
目覚めの朝なのか、朝の目覚めなのか………この部分だけ、歌詞を思い出せない。
いつも、いつも、思い出せない。
………自分が間違える度に、その度に………教えてくれる人が、いた。
………遠い昔。
陛下と私を、いつも追いかけてきていたあの人が、いつもいつも、教えてくれたのに。
………やはり忘れてしまう私に、笑いながら教えてくれるあの人は………今はもういない。
私はもう二度と、この歌をちゃんと歌える事は無いのだろう。
「…………………目覚めの朝………朝の…目覚め………。……………………………………………ここは、何でしたか?…………私の…フローラ………」


